働き方研究の第一人者で、ベストセラー「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」「ワーク・シフト」の著者であるロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授のアーカイブ配信をレポします。
出典は、sansan社の「SIP2021 ちょっと未来の働き方」イベントです。
その2では、ここからの学びをメモしています。ぜひに!
在宅勤務の働き方とオフィスでの勤務の違い
パンデミックによって、「場所」と「時間」を柔軟に変えられるようになった。
- 場所: オフィスか、どこでもか
- 時間: 9時−5時か、いつでもか
この場所と時間の4象限で考えると、
パンデミック前は「オフィスで9時-5時」だったのが
パンデミック後は「どこでも、9時-5時」もしくは「どこでも、いつでも」
に変わったのです。
仕事の要素と働き方
生産的な仕事には4つの必要な要素がある。
自分の仕事には、①集中 ②調整 ③協力 ④エネルギー この4つの何が必要かを考えることが重要だ。
集中(フォーカス)
多くのエネルギーや高いモチベーション、集中力が必要。
何かに一人で取り組む仕事。
ex.執筆
調整(コーディネーション)
他の誰かと時間を調整することが必要。
声を掛け合いフィードバックする、すべきことや今後の計画を一緒に検討する仕事。
ex.リサーチチームと会い、次に何をすべきかを検討する
協力(コラボレーション)
誰かと一緒に創造性を発揮が必要。
自分達の仕事について話し合う、
ex.新製品についてディスカッションする、顧客と面談する
エネルギー
よく生きて成功して食べて運動する。
次に、そのために最適な場所は時間を考えるべき。
場所と時間
パンデミックにより在宅勤務を余儀なくされ、多くの人が、通勤にかけていた時間を自分のものにできた。例えば、子供と過ごしたり、健康的な食事をしたり、散歩する時間などが生まれた。
この在宅勤務により場所の効用がわかってきた。
家
仕事をしたりエネルギーを蓄えたりする
オフィス
人と会う場所であり、共同作業や協力などイノベーションの実現のための空間である。
これが大変な思いをして通勤する理由だ。
時間
基本的には、一緒に仕事をする相手と時間の合意が必要だが、zoomでもオフィスでもできる。
重要なのは、同じ時間を過ごすことで、オフィスかどうかではない。
パンデミック後に求められるオフィスと自宅の役割
オフィスは共同作業の場
人と出会う、偶然廊下で会う、新しいメンバーとの出会い。
顔を合わせてのコーチングやメンタリングで業務を知ってもらうための場である。
家は、エネルギーを蓄える場所であり、仕事をする場
誰にも邪魔をされずに仕事ができる場。
仕事をする場としては、自宅だけでなくシェアワークスペースを利用するのもアイディアの一つだ。
そして、邪魔をされない場として、メールやチャットを管理し、集中する時間を確保する方法(境界線)を考える。
同期する時間、同期していない時間
これまでオフィスで仕事をしていた時代には、仕事はデザインするものでなく、勝手にデザインされるものだった。ここを設計していかなくてはならない。
同期する時間
オフィスで直接会う、zoomでも良い。
やりすぎに注意。回数や予定には注意が必要で最小限にするしましょう。
ほとんどは30分ですむはずだ。
顔を合わせる同期の時間には、フィードバックやメンタリング、コーチングを実施する。
チームのキャッチアップも必要だ。毎朝10分、1日の出来事をキャッチアップする。業績を上げた企業はキャッチアップが短いと言われている
同期していない時間
家やオフィスで一人でする仕事だ。1-2時間はメールやチャットせず集中する。
独立して一人でできる仕事の場合には、自分自身が、どのように仕事がしたいのかを考えると良い。
夜型なら集中して夜に仕事をするのも良い。
早朝から午前中に集中して、午後は別のことにするという方法もある。
働き方を再設計するために検討する必要がある事項
チームとの約束事
これらの同期する時間、同期していない時間を設計するためには、チーム全体への意義を過考え、チームメンバーとの約束事も重要だ。
例えば、9−11時は執筆するために集中して仕事をする、と約束している。
他にも、2日に1度15時に集合して、顔を合わせて仕事をする、毎週水曜か木曜日は全員出勤にして顔を合わせて仕事をする などもあるだろう。
自分が決めるもの
働き方は、好みや性格に起因する部分もある。内向的であれば家で気にならないが、外交的であればオフィスで仕事をするのがいいかもしれない。
家庭環境により、子供がいれば会社に行くと静かに仕事ができる場合もあるだろう。
人それぞれなので、自分が求めているものはなんなのか、そして、チームが求めているものはなんなのか。
チームの仕事を実現するために必要なもの
仕事に何が必要かを考える必要がある。
わたしたちの仕事を実現するのに必要なものはなんだろうか。
集中力を要する?
互いに調整する?
協調とエネルギーはどのくらい?
任務を達成するには?
チームメンバーとの全体で連携
チームメンバーとして仕事をしているので、メンバー同士の連携を考える必要がある。
皆が同意する約束事が必要だ。いつ会議をするのか、バーチャルか、直接会うか、など。
そして、チームとして何をしたいのか。
どうやって合意するのかを考えていってほしい。
最後に
これらのように、仕事に必要なことや自分の好みをまとめておけば、個人としてもチームとしても働き方を再設計するチャンスとなる
昔の働き方に戻らないようにしましょう。
ここからの数年が、働き方、働く場所、働く時間を改革する機会なのだ。
これから数年かけて実現する道を話し合っていこう。